私のような者には目に対してのミステリーがある。そして、目で見る族の人たちにも目が見えないことへのミステリーがある。ならば互いに胸襟を開いて、それぞれのミステリーについて忌憚なく語り合い、「ああ、そうなっているのか」と面白がって互いの目からうろこを落とし合う。これぞまさに健康なコミュニケーションというものじゃないだろうか。
この愛は闘いだぞ。わかるか? 黒人神学の泰斗、ジェイムズ・H・コーンに学ぶため、二七歳の筆者はNYにあるユニオン神学校の門を叩いた。教室にさざめいたハレルヤ。仲間たちの叫び。奴隷制以来、四〇〇年に及ぶ苦難の歴史に応答することはできるのか。魂をゆさぶる言葉の旅。
1735年から赤道での地球の緯度1度当たりの子午線弧を計測するため、赤道へ向かったフランス科学アカデミーの遠征隊。困難をくぐりぬけ、壮大な実験を行った世界初の国際的な科学遠征隊のおどろくべき冒険の記録。
ヨーロッパの中世から近代までの発展は、イスラム文明の文化・社会的影響や遺産抜きではあり得ませんでした。本書で明らかにしていきたいのは、中東とヨーロッパがいかに交わり、溶け合い、互いに寛容の心をもって共存を実現し、イスラム・ユダヤ・キリスト教が創った平和の文化遺産が多数存在するという歴史的事実です。
江戸時代後期の心学者・柴田鳩翁が説いた講話『鳩翁道話』を現代に照らし、いま改めて人生にとって大切なものは何かを問う。
女性が劣位に置かれている状況を変えてきた女性のなかには、品行方正ではない者がいた。危険な思想に傾く者も、暴力に訴える者さえもいた。「むずかしい女性」たちがつくってきたこうした歴史の複雑さを余すことなく描き出す。イギリス女性史と現代社会の出来事を往還してあぶり出される問題は、女性だけではなく社会全体の問題であることが見えてくる。
キリン最大のヒット商品である「一番搾り」、発泡酒の「淡麗」、第3のビール「のどごし」、缶チューハイ「氷結」。これらはみな一人の人物が作った商品である。その名は、前田仁。常識や前例にとらわれない発想で次々とヒット商品を生み出した前田仁のマーケター人生に、ビール業界を30年以上取材し続けてきた著者が迫る。
著者は、雑音まじりのラジオから聞こえる異国の言葉に胸をときめかせ、語学に邁進した。そして独学で英語を磨き日米交換留学生になり、教材が入手困難な中あらゆる方法を駆使して30歳で「20カ国語」をマスターした。語学上達のノウハウを惜しみなく開陳した名著であり、外国語の習得に熱中した一人の青年の青春記。
人口約2万人の小さな町に「革命」を起こした、ある男の物語。新人職員にもかかわらず、ゆるキャラ・しんじょう君をプロデュースし、ゆるキャラグランプリで1位を獲得。さらに、ゆるキャラとSNSを駆使して、200万円しかなかったふるさと納税寄附額を約1000倍にまで増やすことに成功した。彼はいったい何をしたのか――。
1963年。祖国復帰を願う沖縄の人々が、日本の味として食べていたサンマ。サンマには輸入関税がかけられていたが、その根拠はアメリカが制定した布令。しかし関税項目にサンマがなかったことが発覚。「関税がかかっているのはおかしい!」と、魚屋のオバーが税金の還付訴訟を起こす。「サンマ裁判」はアメリカを追い詰める民主主義を巡る闘いとなっていく。
著者はアフリカで大発生し、農作物を食い荒らすサバクトビバッタの防除技術の開発に従事。モーリタニアでの研究活動が認められ、現地のミドルネーム「ウルド(○○の子孫の意)」を授かる。著書に、毎日出版文化賞特別賞、新書大賞、ブクログ大賞を受賞した『バッタを倒しにアフリカへ』。
言語が「国語」としての地位を築く過程で、また世界に拡散する場合に、「何が正しい言い方/書き方なのか」が必ず問題になる。「対照言語史」という全く新しい視点を導入し、5つの言語の歴史を比較することを通じて、この「標準化」のもつ意味を多角的に考察。「正しいことば」はどのように作られるのか。
世界的なピアニストで、音楽理論家としても活躍したチャールズ・ローゼンが、友人テマーソンを聞き手に、縦横無尽に音楽の喜びを語る。明晰に、率直に、生き生きと語られた言葉たちは、音楽の喜びの核心を軽やかに告げている。ピアニストとしての体験に裏打ちされた、珠玉の洞察。
オスカーはじめ輝かしい賞をいくつも獲得し、今も現役。英国の宝と呼ばれる名優マイケル・ケイン。90歳を前に人生を振り返り、長いキャリアから得たユニークな教訓を私たちに伝えます。致命的な失敗、理不尽な階級意識との闘いを経て獲得した逆境を乗り越える方法。ときにシニカルに、ときにユーモラスに。賢くポジティブな最上の人生レッスン。
医学誌『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』は、衝撃的な論文を掲載した。米国では、医療エラーが死因の第3位を占めているというのだ。現役内科医にして優れたライターでもある著者が、医療エラーは「どんなときに」「どうやって」「なぜ」起きるのかを徹底分析。
「丁寧な暮らし疲れ」をしているあなたへ。いつしか心地よく暮らしていくための「手段」が「目的」になり、それらをこなすことが「丁寧な暮らし」だと思い込んでしまっていませんか? 本来すべきことは、あなたと家族が笑顔で心地よく過ごせるように、コツコツと「小さなマシ」を積み上げていくこと。遠回りのようですが、実はこれが一番の近道。
著者は、社員の幸福度と会社の業績には密接な関係がある、と説きます。500社を顧客にもち、年間相談件数7000件の日本最大級の社労士事務所の代表が、社員と会社の関係が好循環でまわりだす極意を徹底解説。
女性ライターが素性を偽り、オンライン上の過激派コミュニティに潜入した渾身のルポルタージュ。著者は、様々なルートから「白人至上主義」の内実を暴き出す。民主主義の「建前」が崩壊した現代アメリカにおいて、オンライン上で育まれた反ユダヤ主義、レイシズム、ミソジニーなどが、いかにメインストリームを侵食しつつあるかに警鐘を鳴らす。
有効な温暖化対策「カーボン・ファーミング」としていま脚光を浴びるリジェネラティブ(環境再生型)農業。その第一人者による初のノンフィクション。地中の生態系のはたらきを阻害さえしなければ、あらゆる土が真に「生きた土」に変わる。さらに、やせた土地の回復は、農業の衰退、食料危機、環境破壊、気候変動問題などの対策にもつながる。
「ロボットはきちんと操縦できるほうがいい」「AIは『正しい答え』を導いてくれるほうがいい」……そんな常識は打ち捨てて、「他者」としてのロボット/AIに対峙してみるとどうなるのか。人間とロボットとの本当のインタラクションを目指して描かれる、ロボット工学の新展開。
本書ではホワイトハッカーを目指す方に向けて、スキルアップ方法などを紹介。著者の主な書著に『ハッキング・ラボのつくりかた』『暗号技術のすべて』(翔泳社)、『ハッカーの学校』『ハッカーの教科書』(データハウス)がある。
東南アジアでユニコーンと呼べる有力スタートアップが続々と誕生。シンガポールのグラブとシー、インドネシアのGoToは「3強」と呼べる有力企業で、いずれも企業価値が兆円級。本書では、スタートアップ「3強」の最先端のビジネスモデル、創業者の素顔、成長の秘訣や、なぜ東南アジアでスタートアップが育つのか、起業のエコシステムを明らかに。
Bリーグの「川崎ブレイブサンダース」は、DeNAが運営を継承して3年で、リーグNo.1の動員数を達成。チーム関連の売り上げも約2倍に。川崎のマーケティングを統括してきた藤掛直人氏の手による本書では、ファン層を広げてきた取り組みを公開。今やどんな企業でも求められる「ファンをつくる力」に有益な方法論を豊富な実例とともに明らかに。
「正解がない時代」とは「正解がいくつもある時代」。そのためには自分たちで正解をつくっていく必要がある。自分たちで正解をつくるとは、仮説ー実行ー検証を回していくこと。この過程で必ず付いてくるのが失敗。避けがちだった失敗とどのように向き合い、どのように糧としてしゃぶりつくすのか、そこがこれからの時代の成否を分ける。
BTS、BLACK PINK、NCT……世界を動かすK-POPのアーティストは、どのように生み出されるのか? 世界音楽市場3兆円規模。JYP出身の著者が、韓国エンタメ業界の最先端の「仕組み」を解説。大ヒットの秘密を完全公開。
長男の知的障害を伴うダウン症を受け止めた矢先、最愛の夫が39歳で急逝。自分が一家の大黒柱となって奮闘中、大動脈解離となり手術の後遺症で車椅子生活を余儀なくされて――。死にたいほど落ち込みもしたけれど、前を向けたのは心の中に生きる夫と大事な子供たちがいてくれたから。七転び八起きの人生をユーモアまじえて綴ります!
世の様々なお仕事に従事した潜入体験ルポルタージュ。取材では経験学歴不問の職場だけを選んだ。ピンサロ従業員、ビデオボックス店員、産廃業者、新聞拡張団員など。経験学歴不問の職場ではいくら稼げるのか、どれだけきついのか。実際に働きながら調べることで、読者が本当に知りたい「仕事の本質」が見えてきた。
統計データは、本当はどういう意味を持つのか? 「フェイクニュース」はどうやってウソをデータで塗り固めるのか? 「データに騙されない方法」をFTの人気コラムニストが教えます。
動画の意図を正しく伝えるためには,「文法」の理解が必要不可欠。映像制作歴40年以上、NHKでのディレクター歴25年、1万番組以上制作・編集し、NHKらしからぬ番宣で新規契約を殺到させ「スポットの神様」と呼ばれた著者が、「動画編集のルール」を体系化。
GAFAをはじめとする革新的な企業では奇想天外な難問が出題されるが、それは企業からの「このような人物と働きたい」というメッセージでもある。80を超える難問と、攻略に必要な論理的思考法を取り上げ、企業がどのような考えで理想の人材を探しているかを明らかにする。
コンビニおにぎり、セブン銀行、100円コーヒー。数々のヒットを生み、日本の新しいライフスタイルをつくってきた鈴木敏文氏。彼が約50年前からただ一人見抜いていた、潜在ニーズを拾いあげる「ストーリーづくり」の真髄は、「CX=カスタマー・エクスペリエンス(顧客体験)」にあった。
追随を許さぬ新型コロナ追跡システムで、各国政府や国際機関の対策を支えるだけではない。コロナ禍を予言、ウイルスの配列をいちはやく解析、重篤な状態に陥った米大統領の命を救い、フェイク情報と戦う先頭に立つ──専門家を育てながら、専門分野の横断を奨励する研究環境は、人類を疫病から守る砦だ。
「相手に9割話をさせ、自身は1割しか話さない」という省エネ・コミュニケーションスタイルを確立した著者が紐解く、相手に9割がんばらせるための、1割の努力とは?
本書は芸術大学で指導する一方、演奏家としても第一線で活躍中のフルーティストによる、演奏という観点から見た音楽論である。つねにその瞬間瞬間の現れとしての音楽を生み出す者だからこそ得られる洞察、そこから個性と普遍という大きな問題へも視野を広げていく。「音楽本大賞2023」読者賞受賞。
幸福度ランキング世界一、ワークライフバランス世界一、SDGs達成度ランキングで世界一など、数々の指標で高い評価を受けているフィンランド。その背景にあるのは、「人こそが最大の資源で宝」という哲学です。立場を問わず全ての国民が平等に、そして幸福に暮らすことを可能にする、驚くべき「仕組み」とはいかなるものなのでしょうか。
3年で世界に通用する狙撃手を育成しろ──。全くの手探り状態から狙撃課程を立ち上げ、陸上自衛隊の「狙撃の道」を切り開いた初代狙撃教官と、実戦的な訓練で最強の部隊をつくりあげた連隊長の熱血対談。
愛犬の健康をサポートする手づくりごはん54レシピ掲載。四季の構成で、旬の食材を取り入れた基本のごはんやちょっとした不調に対応したごはんのほか、お正月やハロウィンなど季節のイベントに作りたい目にも楽しいごちそうごはんも紹介。時短や作り置きで手軽に作れるレシピばかりです。
鉄道全盛期の約40%が消滅した北海道。その廃線跡を訪ね、地域の栄枯盛衰、そこに生きた人々の息遣いを活写する。鉄道への郷愁と憧憬とともに、かつて北海道の基幹産業だった、石炭、鉱山、にしん漁、馬産、砂金などの歴史エピソードを渉猟し、新しい「鉄道民俗学」を試みる。著者は「旅と鉄道」誌創刊期デスク。
インテリジェンスを制する者が国を治める。徳川260年の泰平も崩壊も、極秘情報をめぐる暗闘の成れの果て。将軍直属の密偵・御庭番、天皇を見張る横目、実は経済スパイだった同心──近世政治史の泰斗が、貴重な「隠密報告書」から幕府情報戦略の実相を解き明かす。
アナウンサーになろうとは一切思っていなかった著者が、どのようにして報道の第一線で勝負できる伝わるチカラを培ってきたのか? プロのアナウンサーが実践してきた全テクニックを教える。人前で話すコツ、会話が盛り上がるテク、仕事にもプライベートもこの1冊でうまくいく。
料理に失敗なんて、ない――レストランで食べるものと家で食べるものとを区別し、家庭では簡素なものを食べればよい、という「一汁一菜」のスタイルを築いた料理研究家・土井善晴。フランス料理、日本料理の頂点で修業を積んだ後、父と同じ家庭料理研究の道を歩む人生、テレビでおなじみの笑顔にこめられた「人を幸せにする」料理への思い。
まだ中国への旅行が広く解禁されていなかった1980年。シルクロードの入り口である敦煌を目指し、未知なる国を駆け抜けた著者初の中国旅。さらに8年後、日中共同楼蘭探検隊の一員として参加した、タクラマカン砂漠の過酷な旅。忘れ得ぬ二つの旅を振り返り、当時書けなかった事実や逸話を新たに盛り込んだ探検紀行。椎名誠の旅の原点がここにある。
進化論的に正しいモテ方を指南するのが本書である。恋人作りで成功するために必要なことがすべて詰め込まれている。進化心理学者ミラーの知見をマックスの実体験で検証することで、机上の空論ではない数々の「使えるモテのアドバイス」が提案されている。脳の進化的なプログラムにアピールするから、もちろん日本でもそのまま適応できる。
起業に成功する人や失敗する人の特徴とは? 20年に渡る著者の起業相談の内容からその特徴を探ります。起業準備中の人が必ずつまづいてしまうポイントに絞って考え方や方法を紹介します。
2012年より自身の携帯電話の番号を公開し、「いのっちの電話」として「死にたい人」の話を聞き続けている。そんな著者が「死にたい」に代わる言葉を探す一連の運動の軌跡を厳選した言葉集。
人が視覚や聴覚、または身体の一部を失った時に脳内ではどのようなことが起きているのか。また科学技術を駆使して脳の機能を拡張させ、身体に五感以外の新たな感覚をつくることは可能か。ベストセラー神経科学者による前人未踏の脳内探訪。
『マインド・ゲーム』『ピンポン THE ANIMATION』『夜は短し歩けよ乙女』『映像研には手を出すな!』『犬王』……とさまざまな場で自身のアニメーション表現を追求してきたクリエイター・湯浅政明。現在にいたるまでの歩みをひもときながら、その独創的なイマジネーションの原点にあるもの、発見と挑戦の日々、その演出術の秘密を解き明かしていく。
精密爆撃を可能にする照準器を発明したオランダ人の天才。ドイツの都市を爆撃したイギリスの司令官。焼夷弾に使われたナパームを生み出したハーバード大学の化学者。そして航空機に戦争の未来を夢想した「ボマー(爆撃機)マフィア」こと米陸軍航空戦術学校のリーダーたち――それぞれの思惑を通して空前の殺戮の裏側を描くノンフィクション。
第二次大戦に敗北し、資源もなかった貧しい小国が、なぜ世界中が羨む国になれたのか。仕事もプライベートも充実し、税の「高負担」が負担にならない生活はなぜ実現したのか。現地に30年以上住み、大学で教え、子育てもしてきた著者だからこそ知る秘密をすべて解説する。
未だ見知らぬ国々を、人の心を旅するための道具としての文学。強きものに抗い、弱きものに寄り添うための武器としての書物。世界の古典、現代文学に通暁し、人間の営為を凝縮した書物をこよなく愛するノーベル文学賞作家が、その魅力を余さず語る。
現役グラドルが「他のグラドルが絶対に行かない場所」に行って本気で体験してきた渾身のルポルタージュ。高級ソープ面接、AI婚活、膣整形、メンズエステ、AVのADなど業界のウラ側もちょこっとわかる、どこから読んでも退屈させない1冊。
ジャマイカでウサイン・ボルト氏と共にトレーニングした経験を基に構築した走り革命理論。走り方には「ランニング」と「スプリント」の2種類があることをご存知ですか? 「ランニング」の走り方をしていては、いつまでも速く走れるようにはなりません。「スプリント」の走り方を身につけることで、誰でも必ず足が速くなる。
約40億年前に誕生した初期の生物に、寿命はなかった。にもかかわらず、死ぬことは必要だった──生物は進化し、多様性を生み出し、複雑な構造となったからだ。生物は生き残るため、寿命を得たのである。「死」に関する4つの仮説の歴史的な盛衰を通して、生物の「寿命」がどのように生まれたのかをひもといていく。