2024年5月のヘレシーブックス

石川 九楊岩波書店

著者は実作者の目をもって書と対話し、ひらがなという大河の最初の一滴にさかのぼる。「つながる」という本質に注目しながら、美の宇宙を読み解くこころみ。

アンディ・ブラッセカンゼン

「東欧最強クラブ」と呼ばれて久しいウクライナのサッカークラブ、シャフタール・ドネツクは、2014年以来、ホームスタジアムでプレーしていない。シャフタール関係者の膨大な証言を通して、知られざる流浪の英雄たちの戦いに光を当てる。

米田 彰男筑摩書房

キリスト教において正典とされる四つの福音書のどこにも、イエスの笑いは出てこない。だがナイル川流域の土中から一九七〇年代に発見された『ユダの福音書』では、イエスは四度笑っている。一人のグノーシス主義者によって書かれたこの笑いはいったい何を意味するのか。

河野 一隆講談社

王墓は、王自らの権力欲のためのものではなく、人々が自ら進んで社会の存続を王に託した時に、はじめて誕生する。王墓は、王を神へ捧げるための舞台であり、権力や富の集中を防ぐために、人類が発明した優れた機構なのだ。古代史ミステリーの「定説」を覆す。

宮竹 貴久集英社

ゴーヤやマンゴーが日本全国の食卓に並ぶようになったのは、害虫根絶に人生をかけた想像を絶する戦いがあった。根絶事業に携わり、死闘の現場を間近で見てきた現役昆虫学者による奮闘の記録。

渡辺 政隆岩波書店

地球上の生命はみな、単独では生きてゆけない。動物と植物の持ちつ持たれつの関係や、驚きの生存戦略、進化と生態系をめぐる複雑な仕組みを、最先端の研究を踏まえ、時に皮肉も交え軽妙な筆致で綴る。視野の広さと確かな知見に基づく、生きものと科学への愛に溢れたエッセイ集。

唐木 厚講談社

講談社ノベルスだけでも180冊以上を担当し、メフィスト賞の創設にも携わった編集者・唐木厚。京極夏彦氏や森博嗣氏のデビューを世に問うた筆者が、いかに本づくりに打ち込んできたのか。編集者の仕事の本質に迫ります。

ジー・フィサメィ東洋経済新報社

ハイチ移民の子として生まれたアメリ任天堂の元社長兼COOのレジー・フィサメィ。DSやWii、Switchを世界市場に送り出した彼の人生とその途中で得た教訓を語る。

マウリ・ヴァルトネン/ジョアンナ・アノソヴァ/コンスタンティン・ホルシェヴニコフ/アレクサンドル・ミュラリ/ヴィクトル・オルロフ/谷川 清隆早川書房

SF大作『三体』に登場し、一躍知られるようになった天体物理学の難問「三体問題」。名だたる科学者たちを悩ませ魅了してきた宇宙の謎と、その解明を目指した人類の歩みの全貌を描いた科学ノンフィクション。

国広 ジョージ祥伝社

世界70カ国を訪れ、世界で建築文化を講義している著者による「建築の読み方」。建築界きっての国際派だからこそ書けたボーダーレスな教養書。

翼をください」で知られ、デビュー間もない24歳で音楽出版社「アルファミュージック」を旗揚げ、高校生だったユーミンの才能を見出し、「シティポップ」を次々と世に送りだし、YMOの世界進出を成功させる。多面的な活躍を貫く「村井邦彦」の美学の源泉。

岩井 圭也文藝春秋

奇人にして天才、カテゴライズ不能の「知の巨人」、その数奇な運命。世に認められぬ苦悩と困窮、家族との軋轢、学者としての栄光と最愛の息子との別離。野放図な好奇心で森羅万象を収集、記録することに生涯を賭した型破りな生き様。

佐川 俊彦亜紀書房

伝説の「元祖BL雑誌」の企画・創刊者が語る、華麗なる、やおいボーイズラブ、おたく、サブカルチャー前史。

鈴木 忠平文藝春秋

三つの時代、二千局以上を指し続けた羽生善治、そして彼と共に同じ時代を闘ったトップ棋士たちの姿を見つめながら、棋士という「いきもの」の智と業をも浮かび上がらせる。ノンフィクション三冠制覇を達成した『嫌われた監督』の著者の新境地。

2024年4月のヘレシーブックス

ローウェル・ディンガス/マーク・A・ノレル国書刊行会

伝説の恐竜ハンター、バーナム・ブラウン。愛称はミスター・ボーンズ。新種を次々と発見する天才的嗅覚。恐竜発掘が「探検」だった時代を追体験できるロマン溢れる初の本格的評伝。

暉峻 淑子岩波書店

承認は、存在を認められたい人間の根源的な欲求と社会制度の乖離を炙り出すキーワード。あるべき「承認」の本質とは何か。ロングセラー『豊かさとは何か』以来、民主主義の核心を真摯に問い続けてきた著者の到達点。

井上 俊之/高瀬 康司KADOKAWA

日本を代表するアニメーター、井上俊之が語るアニメ作画の真髄。アニメの作画について注目の同業者と語り合う、「井上俊之の作画遊蕩」が待望の書籍化。語り起こしの対談を含むアニメ作画づくしの1冊。

エドワード・チャンセラー日経BP 日本経済新聞出版

バビロニアの時代からマイナス金利まで。5000年に及ぶ経済思想のバトルを踏まえ、現代の金融政策に警鐘を鳴らす。2023年ハイエク図書賞受賞作。遠大な歴史から、金利の本質を問う。

譽田 亜紀子新泉社

土偶と考古学をこよなく愛する著者が、独自の目線で遺跡をめぐる。遺跡に立ち、出土品を見て、気がついたことや感じたことを手がかりに妄想するのは、かつてそこに暮らした「彼ら」の姿。愛とユーモアと妄想たっぷりに遺跡の魅力を綴ったエッセイ集。

アンガス・フレッシャー青土社

私たちは未来を考えるときにストーリーを使っている。神経科学と物語理論の新しい研究をもとに、科学からビジネス、哲学におけるストーリーシンキングの重要性を明らかにし、想像力、革新性、創造性の本質を探求する。

クレーンゲームは物理学の宝庫! 本書はクレーンゲームを題材に、物理学の基本を解説していく本です。著者はクレーンゲーム歴30年の物理学者で、ライフワークとしてクレーンゲームを物理学的な視点から研究しています。

山際 康之筑摩書房

日中戦争、太平洋戦争、そして終戦。野球界も戦渦に巻き込まれてゆく。特攻に志願する者、病いや飢えで命を落とす者、帰国して活躍する者。人生の数だけ戦争の記憶がある。プロ野球草創期に生きた一二二名の選手たち。

下村 実ナツメ社

大阪の海遊館京都水族館すみだ水族館、四国水族館と4つの水族館で30年以上飼育係として勤務してきた下村実さんが、飼育係のリアルと、生きものたちとの出会いと発見について語ります。

ぐりとぐら 』『ももいろのきりん 』『くじらぐも 』――。世代を超えて愛される名作を生み出した、作家・中川李枝子のはじまりを紐解く。

ロリータのカリスマ・嶽本野ばらが、その歴史をあますことなく記した古今唯一の文献。「飾欲」に生きるすべての乙女たちへ贈る、著者畢生のエッセイ集。

2018年、半世紀前に絶滅したはずの山域に、突如現れた一羽のライチョウ。稀代の鳥類学者・中村浩志と「飛来メス」が出会ったとき、前代未聞の復活プロジェクトが動き始めた。鳥類学者の狂おしき日々を追った、熱血ノンフィクション。

小林 賢太郎幻冬舎

やるやつは、やるなと言われてもやるんです。表現の表裏にあることについての39篇。

前野ウルド浩太郎光文社

日本、モーリタニアアメリカ、モロッコ、フランス――世界中を飛び回ってのフィールドワークと実験は、深刻な食糧危機の原因となるバッタの大量発生を防ぐ可能性を持っていた。画期的な研究内容がいよいよベールを脱ぐ。

佐伯 夕利子竹書房

ビジャレアルでの指導改革を著した『教えないスキル』から3年。生き馬の目を抜く欧州フットボール界で味わった歓びや葛藤、発見と学びを赤裸々に綴った32年間の軌跡。

水野 一晴ベレ出版

これまで50ヵ国以上を訪れた地理学者の京大名誉教授が、強盗に遭ったり、車が横転したりしながらも、好奇心のおもむくままに調査・研究に突き進んだ著者の悪戦苦闘のフィールドワーク冒険記。

2024年3月のヘレシーブックス

船木 亨筑摩書房

直感的な善悪の方が哲学的倫理学より正しいのではないか。倫理学を根底から問い直し、学問としての倫理学が真に目指すべきものと倫理学的観点の面白さを伝える。

アルベルト・エジョゴ=ウォノ東洋館出版社

独裁政治による衝突、ピッチ外での暴動、宗教テロ、民族対立……など、さまざまな争いや暴力がはびこるこの大地で、サッカーが持つ役割とは――。赤道ギニア出身のサッカージャーナリストが紡ぐ、アフリカサッカー14の物語。

片野 ゆか山と渓谷社

「植物の牧野・動物の平岩」と並び称された男。「シートン動物記」「バンビ」といった動物文学を初めて日本に紹介し、フィラリアの治療開発に私財と心血を注いだ、偉大なる奇人の物語。第十二回小学館ノンフィクション大賞受賞作。

野村 泰紀扶桑社

いまや精密科学として確立されつつある「マルチバース(多元宇宙)」とは何かを、カリフォルニア大学バークレー校教授で、素粒子物理学、量子重力理論、宇宙論を専門とする著者が、できるだけわかりやすく噛み砕いて解説。

ヴェロニク・プーラン白水社

フランスのコーダが語る家族との葛藤と愛。きこえる世界ときこえない世界、音声言語と手話を行き来する著者が、家族への葛藤と愛を強烈なユーモアとともに描く自伝的エッセイ。映画『コーダ あいのうた』のオリジナル『エール!』の原案作品。

川﨑航洋KAZI

著者の川﨑航洋氏が30年ほど海を漕いで得た知識と技術を紹介する、カヤックによる海旅のハウツー。海の旅を楽しむヒントがたくさん。カヌー専門誌『CANOE WORLD』に連載された各種の実用テクニックをまとめるとともに、実際に漕ぎ巡った旅の数々を「海旅紀行」として加筆。

清水将吾ぷねうま舎

私たちが住み込んでいる世界の秘密──目の前の謎と、真剣に、誠実に付き合うということ。当たり前の日常に隠された秘密を探れ!

池谷 裕二講談社

「いま一番思い入れがあって、一番好きな本」と自らが語る、渾身の一冊。なぜ僕らは脳を持ち、何のために生きているのか。脳科学が最後に辿り着く予想外の結論、そしてタイトルに込められた「本当の意味」とは――。脳の解説本という範疇を逸脱した、いわば問題作。

阿部 公彦集英社

画期的な日本語読本の誕生! 本書では契約書、料理本のレシピ、広告、ワクチン接種の注意書き、小説、詩など幅広い実例を用いて「形」を読む方法を指南する。

塙 宣之KADOKAWA

20年前、渋々入った漫才協会で人生が変わった――。ナイツ塙さんによる、漫才の「舞台」に立つ芸人について綴ったノンフィクション。なぜ彼らは舞台に立つのか。塙さんにしかできない、独自の視点で紐解きます。

一般社団法人 監督が怒ってはいけない大会(益子直美/北川美陽子/北川新二)方丈社

バレーボール元日本代表の益子直美さんが主宰する「監督が怒ってはいけない大会」。2015年から始まり、すでに9年目を迎えるこのユニークな試みを、その誕生から、大会の様子、子どもたち、監督、親たちの反応や横顔をていねい描いていくノンフィクション作品。